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コーンフレークやフルグラは糖質が多すぎるのか

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「コーンフレークとフルグラの栄養バランス調査」には沢山のブクマやスターを頂きどうも有難うございました。

shinonomen.hatenablog.com


ブコメではコーンフレークやフルグラは糖質が多いのではないかというツッコミが目立った。
そこで、コーンフレークやフルグラは糖質が多すぎるのか調べてみた。


1.「日本人の食事摂取基準」によれば糖質量は適切

私の栄養バランス判定は厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」に基づいている。

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

https://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/11/h1122-2a.html

大塚製薬のサイトの表が一番見やすい。

www.otsuka.co.jp

「日本人の食事摂取基準」には炭水化物と食物繊維の食事摂取基準はあるが、糖質に関しては基準がない。私が作成した表に糖質の項目がないのはそのためだ。
だが、糖質=炭水化物-食物繊維なので、炭水化物の基準から食物繊維の基準を引けば、糖質の基準が類推できる。
30~49歳男性の基準値を100kcal当りに換算すると炭水化物の上限は16.25g、食物繊維の下限は0.78gになるので、糖質の上限は15.47gになる。

コーンフレーク30g+牛乳200gの100kcal当り糖質量は15.21g、フルグラ50g+低脂肪乳200gの100kcal当り糖質量は13.92gだ。
推奨摂取量を守っている限り、コーンフレーク+牛乳もフルグラ+低脂肪乳も、厚生労働省の基準上は糖質が多すぎるということはない。
ただし、コーンフレークは推奨量の上限に近い。コーンフレークを33gにすると100g当り糖質量が15.57gとなり基準を超過する。


2.ロカボの基準ではフルグラ+低脂肪乳は糖質がやや多い

糖質に関してより厳しい基準もある。食・楽・健康協会のロカボだ。
食・楽・健康協会は、1食で摂取する糖質量を20~40g、1日70~130gにするという、適正糖質を提唱している。

locabo.net

コーンフレーク30g+牛乳200gの糖質は35.9gなのでロカボの基準も満たしている。
だが、フルグラ50g+低脂肪乳200gの糖質は42.6gなのでロカボの基準を少しオーバーしている。


ただし、ロカボの基準と対立する研究結果もある。

toyokeizai.net

上記記事で紹介されている研究(

https://www.thelancet.com/journals/lanpub/article/PIIS2468-2667(18)30135-X/fulltext

)によると、炭水化物からのエネルギーの割合50~55%が最も死亡リスクが低い

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」でも同じ研究を参照し、
アメリカ人中年男女(45〜64 歳)15,428 人を 25 年間追跡して、炭水化物摂取量と総死亡率との関連を検討した報告によると、炭水化物摂取量が 50〜55% エネルギーであった集団で最も低い総死亡率と最も長い平均期待余命が観察された。同時に、総死亡率の上昇と平均期待余命の短縮は炭水化物摂取量が 55〜65% エネルギーであった集団ではわずかであった。これは、目標量の範囲を 50〜65% エネルギーとすることを間接的に支持する知見であると考えられる。」と記している。


1日の摂取カロリーは活動量の少ない人で男性2200kcal、女性1700kcal程度だ。糖質は1g当り4kcalなので、糖質130gは520kcalに相当する。
食物繊維はエネルギーにならないので、糖質を130gにした場合、ロカボ基準では炭水化物からのエネルギー割合が、男性23.64%、女性30.59%となり、最も死亡リスクが低いエネルギー割合の50~55%よりだいぶ低くなってしまう。

食・楽・健康協会を立ち上げた山田悟氏の研究は、「2型糖尿病患者にロカボ指導を行った結果、最初の6カ月間に血糖値が大幅に改善し、改善が3年間維持された」というものだ。

www.nikkei.com


ロカボ基準は糖尿病の専門家によって作成された基準だが、日本人の食事摂取基準は様々な分野の専門家によるワーキンググループによって作成された基準だ。
ロカボ基準は糖尿病患者のような血糖値が高い人には有効だが、血糖値が正常な人は日本人の食事摂取基準の「炭水化物のエネルギーの割合50~65%」に従った方が良いのではないだろうか。

 

3.血糖値が上昇しやすいかどうかはGI値で分かる

ブコメの中には糖質の量ではなく、血糖値が上がりやすいのが問題だという指摘もあった。

血糖値の上昇に関しては下記の記事が分かりやすい。

www.otsuka.co.jp

同じ量の炭水化物を含む食品でも、食物繊維の量により血糖値が急激に上昇するものとおだやかに上昇するものがある。
血糖値の上がりやすさをGI値と呼び、GIが70以上の食品を高GI食品 56~69の間の食品を中GI食品 55以下の食品を低GI食品と分類している。

下記の記事ではシリアル食品GI値コーンフレーク75、グラノーラ55、ケロッグオールブラン45と示している。

グラノーラ以外のシリアルの種類!コーンフレークやブランとの違い

コーンフレークは高GI食品だがグラノーラオールブラン低GI食品と言える。

下記の記事では様々な食品のGI値を比較している。

www.rakuten.ne.jp

コーンフレークのGI値75は高いが、食パンは95、精白米は88であり、他の主食と比べて特段高い訳ではない。
玄米フレークの65は中GI食品、オートミールの55は低GI食品に相当する。

下記の記事では、カルビーが自社製品を牛乳と一緒に食べた際のGI値を測定し、フルーツグラノーラ+牛乳が50.7、ベイクドオートミール+牛乳が44.4という結果を得ている。

www.calbee.co.jp

 


4.様々なシリアル食品の栄養バランス調査

様々なシリアル食品に関して、100g当りの三大栄養素と糖質、食物繊維が「日本人の食事摂取基準」に合致しているか調査を行った。糖質に関しては炭水化物-食物繊維で計算した推定値である。糖質に関しては一食当たりのロカボ基準に合致しているかも調べた。また、上記記事から推定されるGI値も記した。
商品そのものを推奨量だけ食べた場合と、200gの牛乳か低脂肪乳をかけた場合について調査を行った。牛乳と低脂肪乳のどちらをかけるかは、栄養バランスがより良い方を選択した。
フルグラはHPの栄養成分情報が、前回記事で参照した値とは異なっていたので、前回記事とは微妙に数値が異なっている。

オートミール低脂肪乳は唯一全項目をクリアした。ただしカロリーが最も低く、これだけではカロリー不足になりそうなのが気がかりだ。
オールブランリッチ+牛乳は食物繊維量で他を圧倒している。牛乳をかけると脂質が多くなり、低脂肪乳をかけると脂質が少なく炭水化物が過剰という帯に短したすきに長し状態だが、実質的にはもっとも優秀だ。実売価格が割高であまり売っていないという欠点がある。
ブコメでも指摘があったが、フルグラ糖質オフは脂質が過剰で栄養バランス的にはあまり良くない。糖尿病で糖質制限をしている人や、日本人の食物摂取基準よりロカボ基準を信じる人向けの商品だ。
カルビーの他の3製品は甲乙つけがたい。ベイクドオーツは、カルビーの調査でフルグラよりGI値が低い点が優れている。フルグラ食後の血糖値対策はフルグラより糖質が控えめだが、脂質が基準よりやや多い。フルグラはロカボ基準をややオーバーしているが、栄養バランス的に優れており、最も入手しやすい。
玄米フレークはGI値的にコーンフレークとグラノーラの中間程度だ。ロカボ基準はややオーバーしている。
コーンフロスティ+牛乳は栄養バランスは完璧だが食物繊維が少なくGI値が高い点はいまいちだ。GI値的にはベーグル、赤飯と同程度で食パン、白米、もち、うどんよりは低い。
雑穀米を食べているような人がコーンフレークは体に悪いと言うのは分かるが、白飯を食べている人がコーンフレークは体に悪いと言うのはナンセンスだ。


まとめ

・日本人の食事摂取基準では牛乳か低脂肪乳と一緒に食べる場合、全シリアルの糖質量は適切。
ロカボ基準ではフルグラ+低脂肪乳、玄米フレーク+牛乳の一食当たり糖質量がやや多い。ただロカボ基準には異論もある。
シリアル食品GI値はコーンフレーク75、玄米フレーク65、オートミール55、グラノーラ55、ケロッグオールブラン45。GI値が低いほど食後の血糖値の上昇がおだやか。
オートミールオールブランリッチ、ベイクドオーツナッツ&シード、フルグラ、フルグラ食後の血糖値対策に低脂肪乳か牛乳をかけて食べると、低GIで栄養バランスもわりと良い。

 

 

 

 

 

 


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